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ライトノベル・アニメ・フリーADV・フリーRPG等の感想を書いたり、撒き散らしたりする。基本的にネタバレで感想を書くのでご注意を。不定期更新です。
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作者は、「日常の謎」をミステリ風に解いていくので有名な、米澤穂信である。『氷菓』、『愚者のエンドロール』が面白かったから、『春季限定いちごタルト事件』、『夏季限定トロピカルパフェ事件』を購読し、それがまたまた面白かったものだから、ついつい、作者買いしてしまったのが、『さよなら妖精』であった。本作は、単行本であったが、いまは、文庫版も発売されている。
本作は、簡単に言うと、ボーイ・ミーツ・ガールだが、恋愛的な表現がほとんど出てこないところが、ただのボーイ・ミーツ・ガールではない。むしろ、ボーイミーツガールというより、「未知との遭遇」のような気もする。
感想としては、とにかく、主人公である守屋に、感情移入してしまう作品だと思った。
守屋が、ユーゴスラヴィアという、自分たちがいる円の外から来たマーヤに対し、憧れを持ったところは、とても共感することが出来る。ただ幸福であるだけの日常の世界を割って入ってきた、幻想的な女の子に対し、憧れを持つというのは、当然のことだ。もし、自分が守屋だとしたら、ユーコスラヴィアに連れて行ってくれなんていう、青いことを本当に考えていたと思う。自分にも、何か出来るのではないか、と。守屋のように、本当にそれを言うことは、出来なかっただろうが。
しかし、目的を持たない行動に意味は無い。守屋のどうしようもない焦燥感は、マーヤとしては、ただの「観光」でしかなかった。観光という表現はきつい言い方のように思えるが、守屋がユーゴスラヴィアに来ないように牽制するには、必要な表現だったのだろう。
マーヤは、ユーゴスラヴィアの七つ目の文化を創造するために、日本を訪れた。そんな、マーヤが眩しくて、羨ましくて、何がしたいわけでもない自分が情けなくて、だからこそ、マーヤに憧れたのだ。若いというか、青いというか、ほろ苦い衝動だ。しかし、一年もたつと、守屋も、冷静な判断が出来るようになった。マーヤの言っていたことは、正しかった。
しかし、マーヤの帰った場所が、現在、紛争の真っ只中であるサラエヴォであると知った守屋は、冷静な判断をし、きちんとした目的を持って、ユーゴスラヴィアに行くことを決意した。危険を冒してでも、マーヤを助けるために、行くのだと。だが、何もかも全てが、遅すぎた。
守屋の視点で考えると、最後の最後で、最悪の結末を迎えたような印象を受ける。それまで、ずっと、守屋に感情移入していた俺は、どうしようも無い、と思った。マーヤに送った紫陽花のバレッタが、手紙と共に帰ってくるというのが、とにかく悲しかった。守屋は、マーヤに恋していたのか、幻想に恋していたのかは定かではないが、最後に、その恋は打ち破られたわけだ。
話は、代わるが、センドーは、もしかして、守屋に惚れていたんじゃないだろうか、と邪推してみる。バレッタ購入時、センドーにも何か上げるべきだと必死になっていた、いずるの発言から推測してみた。それなら、意外な三角関係が出来上がっていたんじゃなかろうか。「マーヤに夢中ならないでよ…私も見て」なんてセンドーが考えていたら激しく萌えるんだが。いや、それはないか。
途中、ユーゴスラヴィアに関することが延々と説明されていたが、それが守屋の視点から書かれているから、何の苦もなく、すいすいと読めた。ユーゴスラヴィアに関する知識も、得ることが出来たと思う。がしかし、この物語は、1991年と1992年のことが書いてあるわけだから、今なら色々と、事情も変わっているだろうと思う。ユーゴスラヴィアのいまがどうなっているのか、なんて気になるようにしてしまうのが、凄いと思う。
非日常との接触により、日常から非日常の世界へ行くことになる、というのは、『灼眼のシャナ』のような内容のことだろう。が、本作では、マーヤは決して、非日常ではない。いくら、守屋の視点からは幻想的に見えようが、マーヤにとっては日常であった。
守屋の「ユーゴスラヴィアに俺を連れて行ってくれ」という発言は、ただの非日常への憧れだけではなく、マーヤへの恋心からの発言だと考えても、面白いと思う。そういうような描写は全く無いが、マーヤが日本に残れるような立場ではないことを考慮したうえで、マーヤとは離れなくてよい手法が、連れて行ってもらうということだったのかもしれない。

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