これからも、自分がニートであることを、親にバレナイようにし、仕送りを続けて貰い、ニート生活を円満に満喫しようとしていたはずの佐藤君の生命線が、完全に切られてしまった。なんと、親父がリストラにあってしまったのだ。リストラということは、収入がない。というか、だいぶ前からリストラされていたのに、佐藤君に、以前と同額のお金を仕送り続けた両親は、尊敬に値すると思う。やっぱ、親は偉大よな。
この話は、原作にあったような気がする。といっても、あったのは多分、父がリストラにあったため、バイトせざるを得なくなった佐藤君が、警備員のアルバイトをしたといった内容だったはず。まさか、オンラインゲームのRTM(リアルマネートレード)に手を出す内容が出てくるなんて…、漫画版の佐藤君はとことん駄目主人公らしい。
オンラインゲームといえば、仮想世界で、本当の自分を表現する場だとか、離れた友達と遊ぶための場とか、色々と遊び方があって、楽しみ方も人それぞれだ。本当の自分を表現というのは、「現実世界では、コンプレックスのせいで、何も出来ない」という人でも、自分の内面を何のためらいもなく表現できるということ。だからこそ、ニート的、思考の持ち主には魅力的なのかもしれない。
その仮想世界は、どんな人にも平等である。といっても、皆が同じ強さとかそういうわけではない。何が平等かといえば、「スタートライン」が平等なのだ。現実世界では、遺伝子云々の関係で、生まれた時点で、優れている人間と劣っている人間が決まっていたりする。(その後の努力で何とかなるものもあれば、ならないものもある。)そして、そのような不平等な世界で、一生懸命に生きるのが馬鹿らしいと思う人が出てきて、オンラインゲームにはまるわけだ。単に面白いからはまる人もいるだろうけれど。
今回の場合、佐藤君は、お金稼ぎのためにゲームを始めた。がしかし、ひきこもりであろうとも、それがばれる事がない仮想世界は、佐藤君にとっては、真の桃源郷だった。だから、佐藤君ははまってしまったのだ。結局、RTMによって、お金を稼ぐということよりも、ゲーム内での人間関係に重きを置いてしまい、現実をおろそかにしてしまうという罠に、佐藤君は、はまってしまったわけである。岬ちゃんや山崎と疎遠になってでも、辞められない、そういった、中毒的な症状だ。
ゲーム内でいくら努力しても、現実は少しも良くならない。それは、分かっているけれども、辞められない。そのような状況になるだろう佐藤君を、現実に引き戻すのは、誰なのだろうか。やっぱり、岬ちゃんだろうか。そこら辺が、次回の見所になるのだと思う。